墨出しは、基準線を書き出す作業です。
墨ツボに糸を通し、弾くことで間違いのない直線を引きますが、近年ではレーザーを使用する新しい方法なども開発されています。
地面などに設計図通りの基準線を書くということは、紙面に描かれたものを現実世界に原寸大で描き直すことを意味します。
鉄筋工事、型枠工事、その他あらゆる工事で設計図通り正しく仕事を進めるために、絶対に欠かせない重要な作業です。
この作業の歴史を辿っていくと、なんと古代エジプトまで遡ることができます。
墨ツボという道具を起点に調べていくと、ピラミッド建設時にすでに似たものが使われていたことがわかります。
造りは異なり、扱いにくいものであったと想像されますが、墨と糸とで工事に必要な直線を書き出す考えに相違はありません。
遥か昔の職人たちから現代の職人へと受け継がれた人の知恵、それが墨出しだと言えるでしょう。